
WINGとÉLITISが織りなす世界
共有ポイント
- ブランドの世界観を体現できる場を最大限に活かそう!
- 既製品を活用しよう!
発表者
営業1部 渡邊 慶子(わたなべ けいこ)
事例を通してノウハウの共有と営業プロセスの可視化を目指す「ベストプラクティス」。第34回目はカンディハウスとの取り組みについて、営業1部の渡邊さんにお話を伺いました。
― 営業活動(イベント)の概要についてお聞かせいただけますか?
渡邊)(以下、渡)カンディハウス(以下、カンディ)の売上No.1を誇る人気シリーズ「WING LUX LD」(以下、WING)が発売15周年を迎えるにあたり、さらなる販売促進を目的として、新たなコラボレーションチェア(以下、コラボチェア)の限定販売を企画されるということで、MANASへお声がけいただきました。「北欧・ナチュラル」というイメージから脱却し、一皮むけたカンディを打ち出すことをテーマに2023年末から取り組み始めたプロジェクト(以下、PJ)です。
― 引き合いはどのように始まったのですか?
渡)カンディは今回のPJに向けて、社長直々のオファーにより営業開発推進部を発足し、営業メンバーが中心となって仕掛けをつくる新たな体制でスタート。まずは「今までにコラボレーションしたことがない」、「WINGに新たな一面を与えてくれる」という基準で張地に使用するブランドの選定から始めたそうです。
営業開発推進部のメンバーである木村様がÉLITISのラグをきっかけにブランドをご存じで、今回のコラボチェアのテーマである「Quiet Luxury」とÉLITISの世界観がマッチする。かつ、尖ったデザイン性でインパクトがあり、今カンディとして取り組みたい方向性とも合致していることから、ぜひ採用したいとお声がけ いただきました。カンディ社内のプレゼンと並行して、張地の選定とWING15周年の発表の場であるあさひかわデザインウィーク(以下、ADW)の設えに関する打ち合わせがスタートしました。
ADWのようす
― 活動後、どのような状態になることを目指しましたか?また活動前はどんな状態でしたか?
渡)カンディ本社の企画部とは、営業1部の水野さんが以前からやりとりをされていて、Lumiere/O&Lを椅子張りカタログに採用いただいていました。カンディとの取引のはじまりは「JOHN BOYD(ジョン・ボイド)」で、海外の生地への理解力も高く、Lumiereだけで年間1,000万円 の売上を生み出している貴重な取引相手です。
エクリプス/カンディハウス
一方、私が担当する青山店は主に物件ベースでの対応。私自身、MANASはファブリックメーカーであるという自負があり、ウィンドウトリートメントに注力して営業活動を行っていたため、家具メーカーへの営業は積極的に行っていませんでした。そのため、ひとつの目標は今回の取り組みを通じて「カンディとの関係をより密接なものにすること」。そしてもうひとつは、「ÉLITISの知名度向上を図るだけでなく、コラボチェア自体の販売促進につなげること」。このふたつを目指して取り組みました。
企画書より抜粋 *社外秘
企画書はこちら *社外秘
― 具体的にはどのようなプロセスで進んでいったのでしょうか?ご紹介する時には何をお見せしましたか?
渡)WINGの張地セレクトと、ADW設えの2軸で進んでいきました。
① WING張地
今回のコラボチェアのために、カンディでは北海道産の「サクラとニレ」のふたつの樹種を新たに追加し、それらの特長を生かした特別な新塗装色「生成りと消炭」を開発。サクラとニレは一般的に家具には向かない木材とされているため、製作は難航します。小さなカラーチップで色合わせをして張地をセレクトすることになりますが、カラーセミナーの経験を生かし、塗装のはじまりの色を意識して生地を提案したところ、Giorgioを色違いで採用することになりました。
企画書より抜粋 *社外秘
こぼれ話:消炭の塗装色については、最後まで営業と工場の方で意見の衝突があったと聞いています。通常の黒は黄色はじまりのためマットに仕上がりますが、消炭は青はじまりのためムラが出やすい。それを味わいとして新しいセールストークで提案したい営業と、クレーム回避のために生産は避けたい工場。最終的には、営業が情熱と責任をもって現場に伝えたことと、仕上がった椅子が素晴らしかったことから、互いに合意されたそうです。
② ADW設え
こちらからレイアウトに落とし込んだたたき案を提出し、それをもとにブラッシュアップしていく流れです。話を進めていく中で先方から予算についての懸念が上がり、「予算を優先するか、見栄えを優先するか」で意見が割れたときもありました。ただ、WINGに新たな一面を与えるという最初のコンセプトを思い出し、「ÉLITISの張地を使用したWINGと素敵な空間」ではなく、「WINGとÉLITISが織りなす世界」をお見せする空間にしませんかと改めて私の想いを伝え、最終的にはすべてをÉLITISで設えることになりました。
ADWのようす(生成り)
こぼれ話:大勢の方々にコラボチェアをご覧いただける貴重な場であるADW。特に2024年は海外からの来訪者が増加すると期待されている中、予算中心の設えで妥協していいのか。せっかくWINGとÉLITISが織りなす世界観を体現できる場なのに…という葛藤が私の中にありました。もちろん予算を抑えるための代案も考えましたが、つくりたい世界とのチグハグ感を感じてしまい、カンディと何度も話し合いをさせていただきました。お互いがヒートアップしてMANASのショールーム(以下、SR)で軽い揉め事に発展してしまうことも。気持ちを落ち着かせて、その日の夜に私からカンディのSRへ行き、想いを丁寧に伝えたことで了承いただけました。
― きっとその熱い想いがお客様の琴線に触れたのですね。
渡)このPJに関わった当初から、「何としてでも彼らの思い切った発信と行動を、私たちMANASの力添えで絶対に成功させたい」という想いがありました。そのためには、テーマである「Quiet Luxury」とÉLITISがもつブランドの世界観の融合という軸からぶれることなく進めること。そして、私は営業なので、売上に繋げるために何ができるかが重要です。先方のWINGと私たちのÉLITISを同等に盛り上げ、「一緒に良い状態へつくりあげていく」ことが大切だと考え、取り組んでいました。
互いの利益につなげること、相乗効果になること。どちらかに偏ってはコラボレーションの意味はない。まるで同じ会社の一員のような視点と想いを持ちながら取り組んだことが、良い結果につながった。特にカンディは自社商品への愛情が深く、私たちの社風との共通点も多かったことから、取り組みやすかったです。
― 工夫したポイントはありますか。
渡)ひとつは設えにおける「既製品の活用」です。自分から設えをすべてÉLITISにしましょう!と提案したものの、実際の見積金額の数字を目にしたときは尻込みするほどでした。そこでカーテンとクッションはÉLITISのレディメイドの商品からセレクトして提案。縫製するよりもコスパ良く、世界観も保ってくれることから採用していただきました。
ADWアイテムリスト
もうひとつは、旭川のSRで使用する資料です。これはカンディの営業メンバーがアテンドの際に活用できるようにと考え、小澤さんに作成を依頼しました。はじめは展示商品と規格が見られるアイテムリストのようにしていたのですが、小澤さんから、「先方が見たとき、どこに何があるか分かりにくいですね。MANAS側が分かっても相手に伝わらないと意味がないので、SR図面をもらってきてください」とご指示いただき、SR図面に私たちの商品画像と規格情報を落とし込んでいくかたちに変更して作成。この資料は会期中に十分に活用いただくことができました。
時間のない中でも小澤さんは、なんとしてでも成功させたいという私の熱意を汲んでくださり、「なんとかしましょう。絶対成功させてほしいから。」と常に背中を押す言葉をかけてくださって、とても心強かったです。関係者の皆さんが最善を尽くしてくださったからこそ今回のPJが成功したと強く感じます。
アテンド資料
― 渡邊さんの周りを巻き込む力がPJを成功させるひとつのポイントだったのですね。
渡)今回のPJに限った話ではなく、日頃から営業活動に関わっているみなさんには、「この間相談させていただいた件、今はこんな状況です」など、どんな些細なことでも進捗をお伝えするように意識しています。メンバーの一員として動いていることを意識して同じ熱量をもって取り組んでいただけたら嬉しいですし、コミュニケーションを取ることは大事にしています。
― 活動後、お客様との関係に変化はありましたか?または、お客様からいただいた声をお聞かせください。
渡)ADWの4日間、山本(将)さんと水野さんと私は同行営業させていただいたのですが、実は開幕ギリギリまで、営業開発推進部と営業メンバーとの温度差を感じていました。カンディスタッフの方は「自社製品は自社のスタッフで紹介する」といった雰囲気が強く、前日のブランド説明時には、わくわくしている営業開発推進部メンバーの傍ら、「なぜMANASがここにいるのか」、「なぜ張地の紹介までしなければいけないのか」という営業メンバーの視線をヒシヒシと感じるほどでした(笑)
ところが、当日の朝にようやく消炭のダイニングセットが完成し、塗装と張地が一体となったWINGを目にした途端、営業メンバーのテンションが見違えるように上がっていきました。そこからはお客様が来れば一目散にダイニングセットの方へお連れし、「この張地はMANASの~」と言ったように、MANAS商材も積極的に紹介してくだるまでに。4日間、昼夜常に顔を合わせて一緒に接客させていただいたおかげか、スタッフの方との関わりがとても強くなり、東京に戻ってからもコンスタントにお問合せやご相談をいただけるようになりました。
ADWのようす(消炭)
また、「ÉLITISが好きになった」や「MANASの他ブランドについてももっと知りたいし、取り組んでいきたい」と言っていただき、セミナー開催やイベントのノベルティ、ハウスメーカーの家具フェアなど多数一緒に取り組ませていただいています。2025年のADWもまた一緒にとお声がけくださいました。イベントのノベルティとしてÉLITISの既成クッションを採用したものは、ひと月で50個以上も購入いただき、大変好評だったようです。
― 皆へのメッセージをお願いします。
渡)営業活動をしている中で、お客様のリクエストにマッチした提案が出来たときにやりがいを感じますが、これは私一人の力では出来ることではなく、日々それぞれの部署の皆様に助けていただいているおかげです。いつもありがとうございます。
これからも常に関わってくださる方々への感謝を忘れずに、一緒に協働できたら嬉しいです。
(左)
部署名: 営業1部
氏 名: 渡邊 慶子(わたなべ けいこ)
入社日: 2017年7月
(右)カンディハウス営業開発推進部 木村様
― MANASの入社経緯をお聞かせいただけますか?
渡)新卒では、KALDI COFFEE FARMへ入社。店舗でコーヒーを配っていました。世界の食材と出会い、働いている中で、それぞれの料理に合った食器やテーブルコーディネートに興味を持ち、2社目にCONRAN SHOPへ転職しました。いつか営業をやってみたいという気持ちを持ち続けながら勤務していたのですが、ご縁を頂きMANAS東京営業部へ転職させて頂きました。
― いまはどんなお客様を担当されていますか?
渡)ハウスメーカー・リテイル・設計/デザイン事務所(百貨店以外)
客先名 | 株式会社カンディハウス |
事業内容 |
住宅・オフィス・コントラクト家具、特注家具およびホームファニシング関連商品、 インテリアアクセサリー、インテリアデザインの企画・設計・施工および工事監理 |
販売金額 | 当期 862,000円 |
商品 |
〈北海道〉Lumiere F7710/OSBORNE&LITTLE |
営業活動について
名称 | WING LD販売促進計画 |
実施年 | 旭川デザインウィーク 2024年6月 コラボレーションチェア期間限定販売 2024年6月~2025年3月 |
商品 | Giorgio/ÉLITIS(LR344-03、LR344-72) |
協働者:
営業1部:山本 将之
営業1部:水野 貴之
営業1部:温川 詩織
営業推進部:小澤 綾乃(資料作成)
商品部:田村 美樹(発注)
営業企画部:林 聖来(販促物)
営業企画部:三谷 沙也加(販促物)
業務部:中戸川 綾(発注)