今すぐ使える! スタイルカーテンの提案テクニック
共有ポイント
- 型紙を作成してサイズ感やイメージのすり合わせをしよう!
- 懸念事項を把握した上で、次の行動に繋げよう!
発表者
広島営業所 小請 靖子(こうけ やすこ)
事例を通してノウハウの共有と営業プロセスの可視化を目指す「ベストプラクティス」。
第27回目は広島営業所の小請さんにお話を伺いました。インテリアショップ・カーテンショップで働く方でも、初めてのことへの不安はつきもの。小請さんはそんなお客様の不安を丁寧に解消し、寄り添うことで、最終的にはMANASに対する認識を大きく変えることが出来ました。ぜひ最後までご覧ください。
*施工事例はこちら
*ヴィードパレットによる本件の施工事例はこちら
― 今回は、スワッグ&テールやバランスのご相談をいただいた2つのインテリアショップ「ヴィードパレット株式会社」と「株式会社二興」の事例について、ご紹介いただきます。まずは、それぞれの物件の概要についてお聞かせいただけますか?
小請)(以下、小)どちらの物件も生地はあらかじめ決まっており、スワッグやバランスの納まりについてのご相談から始まりました。
ヴィードパレットは、クラシックやエレガントなテイストを得意とするカーテン専門店です。MANASでは主に生地出しを行っており、縫製は自社でされています。今回の物件では、マンションのリフォームでスワッグバランスの施工が伴い、不安なため、現場での確認および加工までお願いしたいとご依頼がありました。
二興は、多くのカーテンサンプルを導入されており、販売会にも参加されるほど大きな家具屋兼卸売をされているショップです。今回の物件は、会社ビルの住居部分の掛け替えで、MANASのスタイルガイドに掲載されているヴェールバランスを見てお施主様が希望されているとのこと。しかし、二興の担当者が入社二年目で、バランスの経験もなく対応が難しいため、一緒にお手伝いさせていただくことになりました。
― 納品された商品をお知らせください。
小)ヴィードパレットの物件では、ジュリアーノ3(裏地:ソワ12)にカルテットフリンジ15654を装飾とし、スワッグ&テールバランスとして2窓分を納品。二興の物件では、マルメゾン7(裏地:ベガ19)にHOULES 33170-9030のトリムを装飾とし、ヴェールバランスとして納品しました。
ヴィードパレットの物件 ジュリアーノ3(裏地:ソワ12) / カルテットフリンジ15654
二興の物件 マルメゾン7(裏地:ベガ19) / HOULES 33170-9030
― 具体的にはどのようなプロセスで進んでいったのでしょうか?また、ご紹介する時には何をお見せしましたか?
小)ヴィードパレットの物件については、装飾トリムを含めたスワッグの大きさやスワッグ数について確認して欲しいとのことだったので、すでに採寸いただいたサイズを基に、型紙を作って持参し、現場で合わせました。ワイドは採寸通りピッタリの長さで作成し、高さに関しては少しずつサイズ調整出来るよう、余裕を持って大きめに作成。受注後は、厚井さんに加工指示書をお願いし、フリンジの取り付け位置やテールの折り込みの数、スワッグの段数など、細かな指示を記載していただくようにしました。
型紙
小)二興の物件については、”MANASのSTYLE GUIDEに掲載されている元のパターン”と”バランスのカット部分をアレンジしたパターン”の2つのイメージスケッチをお渡ししました。というのも、MANASのSTYLE GUIDEに掲載されている施工例のワイドサイズがW2100に対し、今回の物件はW4400という倍以上のサイズ。サイズが大きくなるとイメージがかなり違って見えるため、事前に共有するようにしました。
その後、実際に現場へ伺い、作成した型紙をマスキングテープやクリップを使って当てて、サイズ感やイメージの共有を行いました。すでに二興で採寸されていたようでしたが、ヴェールバランスは変形ストレートバランスとテールが一体型で、納品時にベルクロでの調整が効かないため、確認のために再度採寸し直しました。
*二興の物件での提案資料はこちら
― 採寸時に気を付けたことはありますか?
小)二興の物件のヴェールバランスは、ワイドがW4400とかなり大きい箇所だったので、一気にスケールで測るのではなく、お客様に許可を取ったうえで、部分的に既存のバランスの上にマスキングテープで印を付け、小分けにして採寸しました。納品時にも立ち会わせていただきましたが、ピッタリサイズで納まった時は、心の中でガッツポーズです。
― 工夫したポイントについてお聞かせいただけますか?
小)実寸サイズの型紙を作成し、ビジュアルでのイメージ共有をしたことです。型紙を作る理由は、もちろんお客様に分かりやすく説明する、イメージの相違を無くすことを目的としていますが、自分自身を納得させるためでもあります。実際に実寸で確認してみるとイメージとのギャップを感じるケースも多いため、自分が提案するサイズに問題がないか、可視化することは大切だと思います。
もう一つは、予め懸念事項を確認しておくことです。とは言うものの、正直なところ、経験値で補っている部分もあります。しかし、その時に起こり得るかもしれないことを想像すること、そしてお客様とのイメージの違いを無くすことを念頭に置いておくと、懸念事項を導き出すことが出来るかと思います。
今回の二興の物件での懸念事項については、ヴェールバランスは大きなサイズでも製作可能か、そしてどんなリスクがあるのかを事前に弘和に確認し、その内容をお客様にお伝えするようにしました。
ヴィードパレット 現場での様子
― 今回のような事例を後輩に向けてアドバイスするならば、どういったお声がけをしますか?
小)お伝えしたいことは3つあります。箇条書きですが、ご確認ください。
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■ 仕上りサイズによってデザインも変わることを留意する
現場によって条件が変わると懸念事項も大きく変わりますので、ひとりでは何が懸念事項なのか気が付かないことも。積極的に先輩に声かけて教えていただきましょう。
■ 現場の状況をチェックすること
リターン部分が特殊な場合もあります。正面から見ただけの採寸では気づけないこともあるため、しっかりと構造を確認してみてください。どんな現場であっても、環境を細部までチェックすることを心がけましょう。
■ お施主様と関われるのであれば、直接ご説明出来る機会を設けること
お客様にお任せだと、専門的な内容は説明しきれない部分が出てくるかと思います。直接、お施主様とお話しする機会が作れないのであれば、イメージの相違がないよう十分な打合せの時間を取ること、そして、パースなどをお渡しして、注意事項をしっかりとお伝えするようにしてください。
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― 今回の2つの依頼を受けられたとき、どのように考えていましたか?
小)マナ西日本時代は卸売が中心で、現場に出向く機会はほとんどありませんでした。ただ、現場を知ることで業務の幅も広がりますし、何よりもお客様からのMANASの位置付けを変えられるのではないかと考えていたため、その想いを実現できる貴重な機会だと感じ、今回の物件を引き受けることにしました。
生地の卸メーカーからオーダーメイドカーテンのプロフェッショナルとして、いつでも頼っていただけて、まずご相談いただける存在になること。
そのためには、オーダーメイドを扱うMANASだからこそ、私たちが必ず押さえておきたい知識や経験が不可欠だと思います。例えば今回のように、“バランスをつけたい”といった漠然としたご要望に対しては、スタイルガイドや施工事例などを参考に、何かビジュアルとしてお見せ出来るものを用意することが大切です。今まで対応された施工事例でも良いと思います。
二興の物件 ヴェールバランス
そして、スタイルはその現場によって、向き・不向きがありますよね。その不向きな窓に対して“何が違和感なのか“をきちんとお伝えするのが私たちの役割だと思います。その役割を果たすためには、PinterestやGoogleでの画像検索、何十年前からあるであろうMANASのイラスト集などを用いて、意識的にスタイルものについて勉強していかなければ、身に付けることが出来ません。
オーダーメイド品は、手をかければかけるほど良いものが出来るし、自身の満足感ややりがいにも繋がりますので、積極的に挑戦していって欲しいです。
― 納品後、お客様との関係に変化はありましたか?または、お客様からいただいた声をお聞かせください。
小)二興については、訪問時に社長からもお声がけいただけるようになり、イベント時にはラグでご協力させていただくまでの関係値になりました。新たにバランスの提案もいただいています。
今までは卸メーカーという位置付けでしたが、今回の物件を機に何か困ったことがあれば相談していただけるような体制へと変化しました。長いお付き合いのヴィードパレットも含め、“以前のマナ西日本時代とは体制が変わった“というお客様からの認識を変えられたことが、何よりも今回の成果に繋がったと感じています。
―皆へのメッセージをお願いします。(応援コメント)
小)私たちの業種は、物件ごとにサイズや仕様が違っていて、同じ仕事はほとんどありません。ヴィードパレットのようなカーテン専門店や経験がある方でも不安材料があるのは当たり前です。今回は型紙を作成しましたが、相談してくれるお客様のお困りごとを解決するために、何ができるかを常に考えていきたいですね。今回のような型紙作成はタイパが悪いかもしれませんが、これからも続けていくつもりです。
また、今回の物件では、納品から取付けまで1か月以上あり、商品のシワが心配でしたが、弘和の梱包がよく、緩衝材のおかげでシワがほぼ気になりませんでした。さすが弘和です。お客様から私たちに対し、また私たちと加工場含む関係部署の信頼関係があってこそ、仕事が出来ているのだと感じました。私たちには頼れる仲間がたくさんいるので、これからも助け合って楽しく仕事をしていただきたいです。
部署名: 広島営業所
氏 名: 小請 靖子(こうけ やすこ)
入社日: 2019年9月
― MANASの入社経緯をお聞かせいただけますか?
小)埼玉から神奈川に引っ越した際、前職の社長から、勉強になるからと齋藤社長(現会長)を紹介いただき入社しました。商品に憧れていたので嬉しかったです。そして、今は無き東急百貨店ファブリックファームとヤマギワに勤務し、その後、同業他社を経てインテリアショップに転職。そこでは、マナからの出向と思われるほどマナと癒着していたようです(笑)。夫の転勤で広島に来て、縁があり、マナ西日本に入社し、今に至ります。一度離れましたが、また関われることになり、縁があったのだと感謝しております。
― いまはどんなお客様を担当されていますか?
中国・四国地方のショップ、ハウスメーカーを広く担当しています。
お客様について
客先名 | ヴィードパレット株式会社 |
事業内容 |
カーテン・壁紙専門店 |
販売金額 | 当期 73万円/前期 200万円 |
商品 |
MORRIS、SANDERSONの取寄せ生地、壁紙 |
*ヴィードパレットの物件の加工指示書についてはこちら
客先名 | 株式会社 二興 |
事業内容 |
インテリア・家具総合卸 |
販売金額 | 当期 120万円/前期 100万円 |
商品 |
カーテン、ラグ |
*二興の物件の加工指示書についてはこちら
共同者:
広島営業所:樂市 揚子(採寸フォロー)
広島営業所:厚井 文(加工指示)