椅子張りマーケットの種が芽吹くまで
共有ポイント
- 1脚から広がる可能性!
- 生地のストーリーを深く理解する!
発表者
仙台営業所 磯部 梨野(いそべ りの)
― 今回、磯部さんには椅子張り販促の事例についてご紹介いただきます。最初に物件の概要についてお聞かせいただけますか?
磯部)(以下、磯)CHAIR BANKからのご依頼で、物件は「ゆづくしSalon一の坊」です。2021年に一の坊スタッフの方がレストランのダイニングチェアの張り替えのご依頼にCHAIR BANKへ訪問されたのがお取引のきっかけです。
仙台ではそれまで椅子の張り替えの機会は、ほとんどありませんでした。お施主様への提案時には同行し、少しずつ地元の飲食店に採用してもらえるようになり、カーテン生地だけでなく椅子張り生地も多く揃えている事が浸透していきました。CHAIR BANKがMANASの生地で張った施工写真をたくさんInstagramに載せてくださり、それを見た一の坊スタッフの方が興味を持って訪問されたようです。
他にはない椅子張り生地の紹介を希望されていて、「No.9 THOMPSON / Tunis」と「scion / Sumac」を提案したところ、とても気に入ってくださり、2023年に21部屋の改修工事のご提案もお願いしたいとお声がけいただきました。当初は6部屋のソファの張地だけでしたが、最終的に21部屋分のカーテンも併せて提案・納品する事となりました。
772プレミアビュースイートルーム [納品:Lumiere・サウンズ・レノクラッシュ]
― 「ゆづくしSalon」はどのようなプロセスで進んでいったのでしょうか?ご紹介する時には何をお見せしましたか?
磯)ソファの張地をご紹介するため、櫻井社長と一の坊へ同行させていただきました。ご提案時はコンセプトが決まっていなかったため、無地調、花柄、幾何学柄など10冊ほどエディターの見本帳を持参しました。一種のパフォーマンスのように見本帳を広げてお見せすることでお客様の興味を惹き、より楽しんでいただけたのではないかと感じます。またこの紹介の場がMANASの取扱商材を知ってもらう機会になり、こんな素敵な生地があるのならと、ソファの張り替えと同時にカーテンの提案もお任せしたいとお声がけをいただきました。
カーテンのご提案時はプランボードを作成し、プレゼン。今回21部屋のカーテンはスタイルからの提案だったため、シェードやレギュラーカーテンなど想像できるよう工夫して作成しました。旅館やホテルのカーテンは遮光+レースというのが当たり前ですが、今回はスイートルームの3部屋以外はレースonレースでご提案。何よりも森や川の自然に囲まれた景色を楽しみたいお部屋とのことで、斬新ながらも喜んでいただけました。旅館の提案であることにとらわれず、コンセプトに合うように思い切った提案をしたのも採用に繋がったポイントだったのかもしれません。
スタイルを想像しやすく工夫されたプランボード ※今回のプランボードとは異なります
― 一種のパフォーマンスのように見本帳を広げてお見せする…素敵な表現ですね。具体的にどのようにご紹介していくのでしょうか?
磯)今回に限ったことではないのですが、椅子張り生地の紹介の際は【デザイン性→ブランドの紹介→カラーバリエーション】の順でご紹介しています。やはりMANASの生地は意匠性が本当に素晴らしいので、積極的にデザインのストーリーをお伝えするようにしました。
打ち合わせが進み、コンセプトは【色づく山々と川の美しい絶景が楽しめる宿】で、二人で過ごすスイートルーム、女子会プランとして使用する部屋、ペットと一緒に宿泊できるお部屋の張地のご相談を受けました。女子会プランには、可愛らしい生地を提案して欲しいというご要望でしたので、フランス語で【光・木漏れ日】を意味するOSBORNE & LITTLEのLumiereを商品名の由来と共にご紹介したところ、一の坊スタッフの方も「コンセプトに合っていて素敵!」と気に入ってくださりました。
スーペリアトリプルルーム(女子会プラン) [納品:ユニゾン・ライン]
名前の由来など生地のストーリーもご紹介することでお客様のモチベーションも上がり、惹きこむことが出来たのかと思います。ブランドや生地の背景を語れるのはMANASにしか出来ないことだと思うので、率先して発信していくべきだと感じます。
― ブランドのストーリーや生地のバックグラウンドを語るためにどんなことをされていますか?
磯)まずは、MANAS取り扱いブランドとデザイナーの想いを理解することが一歩だと思います。
仙台営業所では、新作が発売されると営業所のメンバーでディスカッションを行います。生地に触れながらフランクに各自の感想を言い合ったり、デザインモチーフは何かを想像する。また、今回関わっているデザイナーの事を深く調べたり、カラーネームの意味を考えたり…。
お互いの意見を発展させながらディスカッションするので、コレクションを紹介する顧客の明確化にも繋がりますし、そこでアイデアがたくさん生まれると、提案の可能性も広がります。
― 椅子張り生地は機能性を優先されがちかと思いますが、磯部さんはどのようにご紹介されているのですか?
磯)私はデザイン性を前面に押し出してご紹介し、国産メーカーにはない意匠性が高いものが多く揃っているとお伝えします。機能性が高く安価なものを求めている方が多いのも事実です。しかしモノが溢れている世の中だからこそ、熟練された職人の手によって丁寧に作られたものや、デザイナーの想いが詰まった生地には、人の感情を揺さぶる魅力があると思います。
そのような生地があるのはMANASの強みではないでしょうか。自分自身も美しいものに出会える事は、人生を豊かにしてくれると思います。ご紹介する時は機能性に囚われず、MANASの生地で【お客様の暮らしがどんな風に彩られて、豊かになっていくのか】一緒に創造しながらご提案しています。
露天風呂付デラックスキングダブルルーム [納品:デルクス・サンライズ・ヘイズ]
― 納品後、お客様との関係に変化はありましたか?または、お客様からいただいた声をお聞かせください。
磯)「ゆづくしSalon」が再来年増築の予定をしており、その際も提案をお願いしたいとお声がけいただいています。また、一の坊グループの他の旅館や飲食店にも生地を納めました。今までは東京のデザイナーにお願いをしていたようですが、「今後も地元を一緒に盛り上げていきましょう!」というお声をいただいたのが、印象に残っています。CHAIR BANKとは、椅子張り生地・カーテンをコンスタントに発注をいただいており、布団貼りや特注ベンチなど、弊社での張替え工事を含めた依頼もお願いしています。
―皆へのメッセージをお願いします。
椅子張り生地の提案を難しく感じる方も多いと思いますが、MANASには素晴らしい生地がたくさんあります。MANASのようなストーリー性がありデザインが素晴らしい生地は他社にはありませんので、まずは提案して欲しいです。観賞用の椅子に1脚でも張ってくださると思うんです。今回の一の坊様のように数脚からソファ、そしてカーテンのご提案まで繋がる可能性を秘めていると感じます。
布団張りや特注を受けられる業者さんもありますので、私でも良いですし、ご経験ある山邉さんに相談してください。
部署名:仙台営業所
氏 名:磯部 梨野(いそべ りの)
入社日:2012年7月
― MANASの入社経緯をお聞かせいただけますか?
以前はリアルスタイルというインテリアショップで働いておりました。オリジナルソファの生地にMANASの生地がスペックされていて、綺麗な生地が沢山あるなぁと感動し、MANASに憧れを持っていた所、仙台にもオフィスが出来ると聞き、ご縁があって入社いたしました。
私に生地を紹介してくれたのは洋平社長で、営業担当は水野さんでしたので、まさか自分がマナトレーディングの仲間になるとは思っておりませんでした!
― いまはどんなお客様を担当されていますか?
三井ホームや積水ハウスなどのハウジングと地元のショップを担当しており、地方ならではの魅力を感じております。
お客様について
客先名 | CHAIR BANK |
事業内容 | 椅子張替え・アンティーク家具販売 |
販売金額 | 当期 460万円/前期 224万円 *お取引を始めた2017年は40万円/年ほどでした。 |
商品 |
2017年から取引開始 |
物件について
物件名 | ゆづくしSalon一の坊 |
納品年 | 2023年4月 |
商 品 |
ソファ張替え: OSBORNE&LITTLE UPHOLSTERY COLLECTION カーテン : ユニゾン・サンライズ・サウンズ・レノクラッシュなど |
売 上 | 約300万円 |